空に刻んだパラレログラム 感想
空に刻んだパラレログラム(以下、パラレロ)をプレイしたので感想を書いていきます。
パラレログラムは平行四辺形って意味らしいですよ。
ネタバレ無し感想
はじめに
パラレロのメーカーはウグイスカグラ。僕がプレイするのは『紙の上の魔法使い』に続き2作品目です。かみまほは不穏な空気が良く、妹キャラにこだわりを感じたのでパラレロもそのあたりを期待していました。
今作の公式のQ&Aを見てもこだわりを感じます。これは良妹。
あと飛行CGのお尻が気になって仕方ない。
これは嫌でも視線行っちゃうでしょ......。
某作品との違い
さて、内容に入っていきます。
パラレロの設定ですが、萌えゲーアワードで年間1位にもなった某作品と酷似していますね。
・空を飛ぶスポーツ
・主人公は現在飛べない
・ヒロインに教える形で再び空に関わっていく
・メインヒロイン(彼杵柚と倉科明日香)のキャラ設定
ざっと書き出しただけでもこれ。思うに『蒼の彼方のフォーリズム』に勝負を仕掛けたのかと。
しかし、プレイしてみると印象はかなり違いました。あおかなが爽快感のある青春ものとしたら、パラレロは暗めの生々しい青春ものという具合。
大きく違う点は、格差とチームの2点でしょうか。
- 格差というのは、部が第一と第二に別れており、待遇に明確な区別があることです。第二の部員は雑用を受け持つなどに留まらず、ろくに空を飛ぶことすら許されていません。
- チームというのは3人1組で試合を行うことです。才能の壁にもがく人やもう諦めてしまった人、楽しめればいい人とどうしても勝ちたい人など、メンバー内での不和や意識の差というものをしっかりと描いてくれています。また、敵チームの掘り下げも深くやってくれるので魅力的なサブキャラが本当に多いです。
総評
名作でした。
特に共通√が良かったですね。前述しましたが、各キャラの試合に対するスタンスの違い、これが本当に良かったです。
後半は失速ぎみだったので後味はそこまでですが......。
あおかなと比較したら~みたいな意見もよく聞きますが、設定が近いだけで作品の方向性が違うので比較するようなものでもないかなと思います。
あとびっくりするほど誤字が多いのは残念でした。
推奨攻略順
柚以外3キャラ→柚→TURE
個別√はおまけ程度にとらえて良いかと。柚√は良かったです。
ネタバレ有り感想
ネタバレ注意です。
今回の不憫担当はイーリスで決まり!
3回も失恋シーンがあったのに1度も成就しないという......。 FDに期待しておきます。あと登場シーンのCGがえっちでした。
さて、魅力的なキャラが多い=書きたいことが多い。なのですが収集がつかなくなりそうなので2つに絞って書いていきます。
赤坂水樹
部内戦第一回戦で熱血部長さん。熱血キャラなのに自分が勝つことを諦めているというこのギャップがたまらないです。
Oliviaは前年の部長が率いていたチーム。第2ながら第1と戦えるだけの実力をもち、第2全体を鼓舞する前年部長の背中を水樹はチームの一員として見続けてきた。部内戦の結果も芳しく、このチームならもしかしてと期待を膨らませ、ついに夢に見たダンスマカブルの出場に王手をかける。
「親善試合で結果を残せばダンスマカブルに出場できる」
試合相手は境遼二率いるAero Parts。勝てないまでもいい勝負ができるのだと、第2でも実力があることを見せてやろうと思っていた。試合が始まるまでは。
結果は見るも無残なもの。最後まであきらめない前年部長に対して、水樹は戦意を保ち続けることすらできなかった。第1には勝つことはできない、第2にダンスマカブルは分不相応であると心が認めてしまった。
前年部長が引退し、水樹が部長を引き継ぐことになった。実力にも自信がなく、心も折れている水樹は、せめて第2のために楽しい部を作ろうと思った。ダンスマカブルにはいけなくても第2にいて良かったと思えるようなそんな部を。だから、Oliviaには1年である悠末を加え、勝つことよりも彼女の成長を支えようとも思った。
しかし、下剋上を掲げる桜坂空や、転校してきた彼杵柚の影響で第2はダンスマカブルに出場すべく活気立って行く。それ自体は良いことだと思う。その夢が叶わないとしても、自分が無くしてしまった輝きを応援したいと思った。
Empty Owlとの部内戦では、彼女らに道を開けようともした。音々も同様の考えを持っているし、Oliviaはここで負けるべくして負けるのだと。でもそれはOliviaの総意ではなかった。このチームで誰よりも実力のない悠末が、誰よりも試合に勝とうとしていたーーーー。
感想書こうとしてあらすじを書いてしまう病......。
このあと泥臭く勝とうとするところとか震えましたよ。第一試合目ではありますが、個人的にはOlivia戦がベストバウトだと思っています。
話がずれますが、パラレロの試合構成ってほとんど、
「不和や問題を抱えたまま試合を迎える→前半で上手くいかない→後半で解決して逆転」
の流れなんですよね。共通√まではこれでもよかったのですが、Aero Parts戦でもこの流れで勝つのどうなのって感じがしました。上手く機能してないとはいえ圧倒的格上なのになぁという感じ。強キャラから絶望感を感じないというかなんというか。
分岐以降の失速感はこの辺も影響してると思います。
境遼二
こんなのかっこいいに決まってるじゃないかぁぁぁって感じの人。
立ち絵だけでもかっこいい。ユニフォームのデザインもかっこいい。
誰よりも強いのに誰よりも勝つ努力を怠らない人。彼が周りを雑魚と一蹴しているのは、弱いからではなく、才能を言い訳にして努力をしないから。
そんな彼の前に紬木紅が現れる。誰よりも強いことを認められているはずの自分を他所に、歩を応援し続ける紅が気に食わなかった。それは何度歩を負かせても変わることなく、歩も諦めることはなかった。
「歩がきっと、境先輩を楽しませてくれますよ」
歩との最後の試合は紅の言った通りになった。
遼二敗退後↓
ーー何度も何度も、彼女の笑顔を思い出していた。ーー
「境遼二が求めていたのは最強になることではなく、最強である証明」
良すぎる......。
まさか紅の話を持っていくのが歩じゃなかったとは。誰よりも紅の幻影に縛られてたのが境先輩ってのも良いですよね。
余談ですが、
歩たちが柚に紅を重ねていたように、僕も柚にあおかなの明日香を重ねているところがありました。
同じくメインヒロインであり、物語のきっかけになるキャラクター。髪の色や言葉遣い、性格が似ている上に、練習に愚直で空を楽しんでいるところ。
きっと柚も明日香と同じように才能を開花させていくのだろうと、期待もしていました。
でも柚には力強い面など色々表情のギャップがあって、歩が紅との違いに魅せられていたように、僕も明日香との違いに魅せられていたように思います。
キャラの心情の追体験とでもいえるのでしょうか。これを意図していたのかは分かりませんが、あおかなに設定が似てて良かったなって思いました。
こんな感じで終わりにしようと思います。ここまで読んでくださり感謝でした。それでは。